どんなうどん?

自信作だけあって変わったカレーうどんなのです。

うずら卵の水煮

では豊橋カレーうどんがどのようなものなのか、簡単に説明しようと思います。 まず器ですが、カレーライスを食べるのに適した平べったいお皿ではありません。 うどんがベースになっていますから丼状の器を使用するのが最適で、これはどの 飲食店でもこの案を概ね採用しています。 丼状の器にカレーうどんが盛り付けられるのですが、豊橋の秘密はその下にあります。 一般的なカレーうどんの最深部にはカレーかうどんが沈んでいますが、豊橋カレー うどんはそれ以外の物が隠されているのです。 なんと驚くことに、そこにはとろろご飯が待ち構えています。 カレー味のうどんを食べ終わったと思いきや、次にカレー味のとろろご飯が器を 手にする者の前に現れるので、初見の方はたいそう驚かれるでしょう。 どのような仕組みになっているのかですが、まず器の底にゴハンが入ります。 その上にとろろが添えられ、おいしそうなとろろご飯となります。 これだけでもメニューとして成立するのですが、その上にカレーうどんが盛り付け られるのがこのご当地グルメ最大の特徴でしょう。 とろろご飯やカレーライス、うどんが単品で勝負しようとするのは定食屋のごく 普通のメニューならば問題ないことでしょうが、地域を代表するグルメとしては かなりの実力がなければちょっと成立しません。 例えば讃岐うどんで有名な香川県ですと、人口当たりのうどん屋さんの数は日本で 一番多いですし、なによりこしがありおいしい讃岐うどんです。 ただのうどんとは別物と言ってもよいほど特徴的な食感なため、名物と呼ぶに相応 しい一品でしょう。 またうどんに対する情熱も強く、高松市なんかはコンビニエンスストアよりも うどん屋の数の方が圧倒的に多いとの逸話は有名です。 観光でやってくるお客さんも多いでしょうが、地元の方も頻繁にうどん屋へ足を運び 毎日のようにぶっかけうどんを食べているそうです。 そこまで愛されているのならうどんを名物としてもいいのでしょうが、残念ながら 豊橋市はそこまでうどん文化が発達しているわけではありませんので、うどんに 一工夫して名物を誕生させることになったのでしょう。 その名の通り基本はカレーうどんですが、皆さんも経験したことがあるでしょうが カレーうどんは食べ終わるとカレーが器の下部に残ってしまいます。 これはとってももったいないのでレンゲですくって飲んだりするのですが、もっと 有効活用しようという発想でご飯がこのポジションにきたそうです。 ほぼ確実に余るであろうカレーうどんの汁を、カレーライスのルーとしてリサイクル できるのですからエコロジーとも言えそうなアイデアですね。 「うどんの底にライスを敷いておかなくても別の器でご飯を提供すればいいん じゃないの?うどん食べてから各自ライスを投入で」との疑問もありますが、 確かに同じようなことなのですがあまりお上品ではないと考える方もおりまして、 各自白米をカレーうどんの入っていた器に投入して下さいというのは難しいのです。 特に若い女性客なんかだと「そこまでしてカレーを使いきらなくてもいいでしょ、 白米だけでいただくわ」となりかねず、これではただのカレーうどんとライスの セットでしかありませんし、ご飯はいらないから値引きしてよと言い出すお客さん もそのうち出てくるでしょう。 だいたいそれでは新メニューんはなりませんし、ひとつの器に全てが入っている からこそ豊橋カレーうどんなのです。 またこれは提供する飲食店にとってもメリットがあり、器がひとつだけなので 洗物の数も少なくて済むため従業員の負担も減少させられます。 お客さんの待つテーブルへ運ぶのも、会計が終わって食器をさげるのも楽チンですし うっかり割ってしまうアクシデントの発生率も下がりそうです。 豊橋カレーうどんはこのように魅力の多いご当地グルメなのです。