豊橋カレーうどんのルール

約束事としていくつかのルールが設定されています。

大盛りカレーライスの写真

店ごとに特色のある豊橋カレーうどんですが、最低限のルールは存在します。 一切を店ごとの裁量に任せてしまうと、地域のみんなで作り出したこのご当地 グルメの名を汚すことになるかもしれないのでこれも必要なことなのでしょう。 まずはうどんについてですが、自家製麺でなければなりません。 スーパーで買ってきたうどんを使ってはいけないということですね。 この条件はたいていのうどん屋さんなら問題なくクリアできるでしょうから、 それほど厳しいルールではないと言えるかと思われます。 次に構造的なことですが、器の中になにがどんな順番で入っているのかもおおまか にですが定められており、これも守らなければなりません。 決められているのはトッピングや具などの細かい話ではなく豊橋カレーうどんを 構成するのに欠かせないメイン的な部分だけですので、むしろ反していたら この名称で呼ぶことがおかしいと思えてしまうでしょう。 器の底にご飯、次にとろろ、その上にカレーうどんがくるように配置されます。 このいずれかが欠けても豊橋カレーうどんとは呼べなくなりますし、順序が違っても 全く別の食べ物となってしまうので必ず遵守しなければなりません。 カレーうどんを食したあとに底に残ったカレー味の出汁で、とろろご飯をデザート のように口にすることが出来るのがこの料理の持ち味ですから、先にとろろご飯を 平らげてしまったら最大限の威力を発揮することができなくなってしまいます。 うどんが先でとろろご飯はその後で、これは必須条件なのです。 胃袋の中に入ってしまえば栄養価としては同じようなものなのですが、それを 言ったらどんな料理も台無しになってしまうので禁句です。 例えばお寿司ですが、シャリと醤油、魚の切り身と山葵を一体として頬張るから お寿司と呼べるおいしいフードであり、バラバラで食べたらお寿司ではありません。 もしもご飯を切り離して、お魚に山葵をのせて醤油を付けて食べ、間を空けてから 白米を食すのであればお刺身という料理になってしまいます。 食材の内容はお寿司と全く同一で白米の位置が違うだけですが、料理の名称は 愛知県に限らず全国共通で「お刺身」になるのです。 脇役の山葵が抜けていても名称的には問題ありませんが、主役のご飯がポジション を変更するのはタブーなのです。 また丼にご飯をよそおいその上にマグロなどの寿司ネタをのせて、お醤油をかけて 山葵を添えたらマグロ丼、海鮮丼、と呼ばれるフレッシュな和食になりますが、 それを構成する具材はお寿司そのものですし、刺身定食とも似たようなものです。 このように器への盛り付けや食べる順番によって簡単に違った料理になって しまうので、豊橋カレーうどんも底からご飯、とろろ、カレーうどんとなっており、 仮にそれに反してしまったらただのカレーうどんになるか、とろろカレーうどん、 カレーとろろうどんと呼ばれるのでしょう。 重要そうなルールは以上ですが、他にも細かなルールが数点あります。 具には必ず豊橋産のうずら卵を使う事、というのも定められており、これにより 他県でどんどん勝手に豊橋カレーうどんが出現するのを防いでおります。 地元産の材料を使用すること、これがなければせっかく開発したご当地グルメも 悪意のある業者に真似られてしまいそうですし、やはりここでしか提供できない、 他の地域では手に入らない食材の使用もルールに入れておくのは正しい判断でしょう。 他にも福神漬や壺漬け、紅しょうがを添えるというのもあり、これは実際のところ あってもなくてもいいような気がしますが、丼物ですし最後のご飯のところで 欲しくなる人も多いのでしょうね、とろろご飯だけに。 最後に愛情を持って作る、というルールもあります。 これはどこの飲食店のどのメニューにも言えることですし、料理は愛情という格言 もあるのであえて説明するまでもないでしょう。 これらのルールを守ってこその豊橋カレーうどんです。